品種登録のご相談

育成者の皆様の権利を護ります

新たに育成・開発した品種を登録したいけれども手続がわからないという方、ご覧ください。

お客様の品種登録を支援する当事務所の行政書士の当業務に対する思いについてはこちらをご覧ください。

新品種を護る制度

 新品種の育成には専門知識、技術に加えて多大な時間、労力、資金が必要であるにもかかわらず、一旦育成された品種は自家増殖が可能である場合が多く、開発者の権利(育成者権といいます)が容易に侵害される恐れがあります。はじめに新品種の育成者の権利保護に関係する3種類の制度をご紹介します。

1.品種登録制度:品種と品種名が本制度の保護対象になります。
2.商標制度:新開発品種の種苗又は収穫物を業として譲渡する際にそれらに使用するそれらの名称が本制度の保護対象になります。
3.特許制度:発明が本制度の保護対象になります。例として新開発品種を栽培するための栽培技術や新開発品種を識別するための遺伝子マーカーが挙げられます。

品種登録制度

 これらの知的財産権保護制度のうち、品種登録出願に係わる手続きには
①出願手続

出願は、品種登録願(願書)、出願品種の概要について説明する説明書、出願品種の特性を説明書とは別の書類において説明する場合は特性表、出願品種の写真、出願品種の種子又は菌株(任意、又は資料提出命令を受けた場合)、及び委任状等を農林水産省に提出して行います。出願のためには、その前に出願品種及びその出願品種と類似する品種とを比較栽培試験に供し、データを収集・整理し、写真を撮影します。これらと並行して出願品種の種子を採取します。

②付随手続

・出願品種に係る名称の登録可能性についての調査
・出願品種に係る名称の変更命令に対する対応
・登録後の年金(登録料)管理
・登録後の育成者権者の名義変更等の各種手続

があります。

品種登録の効果

 品種登録を受けると、育成者は登録品種を業として独占的に利用できるようになり、また、専用利用権や通常利用権を設定して他人に登録品種を利用させることもできます。育成者権を侵害された場合には差止請求や損害賠償請求を行うことが可能になります。育成者権の存続期間は、果樹や観賞樹等については30年、それ以外の植物については25年です。

品種登録の要件

 新規に開発された品種が品種登録を受けるには
1.区別性 :品種登録出願前に日本国内又は外国において公然と知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること
2.均一性:同一の繁殖の段階に属する植物体の全てが特性の全部において十分に類似していること(同じ親から採れた種、又は同じ植物体から得た植物体組織(挿し木、種芋等)を同一条件で育てたときの植物体のほとんどが同じ性質を持っていること)
3.安定性:繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと(品種として固定されていること)
という新品種の特性に関する要件があり、これらに加えて
4.品種名称の適切性:出願品種の名称が既存の品種や登録商標と同一又は類似のものではないこと
5.未譲渡性:出願品種の種苗又は収穫物が、日本国内においては品種登録出願から1年遡った日よりも前、外国においては品種登録出願から4年(永年性植物では6年)遡った日よりも前に、それぞれ業として譲渡されていないこと
という要件もあります。

種苗登録までの流れ

  • ステップ
    出願

    審査に必要な全ての形質の特性を記載した「特性表」等を願書に添付して出願します。意図しない国外への持ち出しを制限する「海外持出制限」と意図しない国内での栽培を制限する「栽培地域制限」の届出を出願と同時にすることができます。出願料納付が必要です。

  • ステップ
    出願公表

    当該品種が出願中であることが公示されます。

  • ステップ
    仮保護

    出願から品種登録まで2~3年の審査期間を要します。この間にも出願者に一定の保護が与えられます。出願者は、仮保護期間中に出願品種の種苗等の生産・譲渡や海外持出制限の届出に反して輸出を行った者に対して、品種登録後、利用料相当額の補償金の請求ができます。

  • ステップ
    審査

    植物の特性審査が栽培試験又は現地調査によって行われます。審査手数料の納付が必要です。

  • ステップ
    審査特性の通知

    登録要件を満たすと判断された場合、出願者に対し、登録簿に記載される品種の特性を記録した特性表が通知されます。出願者は、通知された特性表について訂正を求めることができます。

  • ステップ
    登録

    毎年の登録料の納付が必要です。

当事務所のサービス

新規開発品種
  • 品種登録出願書の作成及び提出の代行
  • 品種登録出願補正書の作成及び提出の代行
  • 拒絶理由を通知された場合の意見書の作成の代行

 願書に添付する「説明書(特性表を含む)」には、出願品種の育成及び繁殖の方法、出願品種の特性等を記載する必要があるため、出願品種と従来品種の違いを示す特性や育成の経過の記録及び出願品種の写真などの情報、並びに種子の採取はお客様により準備していただきます。

登録品種
  • 育成者権侵害が疑われる場合の判定請求書の作成及び提出の代行
新規開発品種の利用制限
  • 輸出先国の制限に係る特例届出書提出の代行
  • 生産地域の制限に係る特例届出書提出の代行

 品種登録の審査の間に開発品種が海外へ持ち出されること及び国内で生産されることを防止するために、利用制限制度が令和3年4月より始まりました。品種登録の出願と同時に又は出願以降に利用制限の届出を提出することにより海外への持ち出し及び国内での栽培を制限することができます。

出願に必要な書類を全て提出すれば必ず品種登録が認められるわけではないことをご理解ください。

 当事務所では、品種登録に関する情報を精力的に提供していきます。まずはお気軽にご相談ください。