近年、ペットの家族化・長寿化に伴い、ペットフードやペット用品にも高品質・高機能なプレミアム商品が選択されるようになってきました。中には、日本製品よりも技術的に優れた海外製品も多く見られます。当事務所では、そのような海外製品を輸入する場合の手続について、わかりやすく丁寧にご案内しております。
平成21年(2009年)に「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」が施行され、これ以降、ペットフードの製造・輸入・販売を行う事業者は、同法に基づいた安全管理や表示義務などの規定を遵守することが求められるようになりました。
さらに、輸入されるペットフードに肉類が含まれる場合には、「家畜伝染病予防法」の規制も受けることになります。この法律は、動物由来の原材料を通じた感染症の侵入を防止するためのものであり、肉類や加工品の輸入時には必要な届出や検査を定めています。
ペットフード安全法の対象となるペットフードはドッグフードとキャットフードであり、ウサギ・鳥・爬虫類などのフードは対象外です。一般食や栄養食のほか、おやつ、ガム、及び飲料もペットフード安全法の対象です。
以下の義務がペットフードの製造業者、輸入業者、及び販売業者に課されることになりました。
ペットフード安全法の規定は、ペットフードの輸入業者に対し、その事業の開始前に届出を行うと共にその業務に関する帳簿を記載し、適切に保管することを求めています。帳簿の備付け及び輸入業者に求められる取組みの詳細については、ペットフード事業者に求められる取組みについてまとめたこちらのページをご覧ください。
ペットフードの成分規格、製造方法の基準および表示基準は、平成21年に制定された「愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令」に定められています。輸入事業者は、これらの規格および基準に適合したペットフードを輸入し、表示基準に従って日本語による表示を行う必要があります。これらの規格や基準については、ペットフード安全法が定める規格および基準ついてまとめたこちらのページをご覧ください。
なお、表示にあたっては、ペットフード安全法に加え、薬機法および景品表示法にも十分に留意する必要があります。たとえば、効果・効能を保証するような表示は、薬機法違反となる可能性があり、誤認を招く表示は景品表示法の不当表示に該当する可能性があります。適切な表示を行うことで、消費者の誤認を防ぎ、法令遵守を徹底することが求められます。
肉類を含むペットフードは、家畜伝染病予防法に基づき、輸入時に輸入検査を受ける必要があります。ペットフード輸入に係る検疫手続の流れは、以下のようになっています。
1.輸入予定のペットフードの内容や原材料について、検疫対象かどうかを確認します。
2.肉類など動物由来原材料を含む場合、輸出国の政府機関が発行する衛生証明書が必要です。
3.動物検疫所へ輸入検査の申請を行います。
4.到着した貨物に対して、書類審査や必要に応じて現物検査が行われます。
5.検査に合格した場合、輸入検疫証明書が交付されます。通関手続を経たうえで正式に国内流通が可能になります。
海外製のペットフードの取り扱いをご検討中の事業者さまへ
輸入に関する手続や法令対応でお困りの際は、ぜひ、当事務所までお気軽にご相談ください。
ペットフード事業の開始に係るサービス
1.届出代行 |
輸入事業を開始する前に事業の届出を代行します。 |
2.届出内容の変更・追加の手続代行 |
事業内容を変更したり追加したりするときの手続を代行します。 |
3.行政機関との相談代行 |
各地方農政局との相談を代行します。 |
ペットフード輸入に係るサービス
1.事前調査 |
輸入が可能なペットフードか事前に調査します。肉類を含む場合の必要書類をご案内します。HSコード(関税分類番号)を調査します。 |
2.輸入検査申請書類の作成 |
動物検疫所への輸入検査申請書類の作成を行います。 |
3.行政機関との相談代行 |
動物検疫所との事前相談を代行します。 |
4.トラブル対応 |
通関時の判断に対する異議申立書や追加説明書を作成します。 |
輸入できないペットフードもあることをご了承ください。
料金表
内容 | 料金(税込み) |
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HSコード(関税分類番号)調査 | 22,000円 |
検疫所事前相談 | 88,000円 |
ペットフードの輸入申請 | 143,000円 |
輸入事業者届出代行 * | 55,000円~ |
届出内容変更・追加手続 | 33,000円 |
表示・広告表現のチェック | 33,000円~ |
* 輸入した商品を小分け・再包装する場合や自社のラベルを貼る場合には製造業者としての届出も必要
ペット用のシャンプーやバーム等を選ぶ際、多くの飼い主はペットが舐めても安全であることを重視し、合成化学成分を含まない製品を選ぶ傾向があります。特に天然由来の成分や低刺激性のものが好まれています。
海外製のペット用シャンプーやバーム等を輸入する場合は、その製品が「傷の治療」や「病気の予防・治療」を目的としていないこと、また医薬成分を含んでいないことを確認する必要があります。なぜなら、治療や予防を目的とする製品(例:皮膚病治療用シャンプーやノミ・ダニ駆除成分含有シャンプー)は、日本では「動物用医薬品」として扱われ、薬機法の規制対象となるためです。
このような製品を輸入・販売するには、薬機法に基づき、農林水産大臣による外国製造業者認定、製造販売業及び製造業の許可や製品ごとの製造販売承認等、さらに都道府県知事による販売業の許可など、複数の手続が必要となります。これらの申請には相応の時間と費用がかかるため、ペット用品店を立ち上げたばかりの事業者さまにとっては、現実的な選択肢とは言い難いのが実情です。
医薬品成分を含まない雑貨としてのペット用シャンプーやバーム等の輸入は、比較的手続きが簡単で、取り扱いやすい選択肢です。ただし、雑貨として輸入・販売する場合でも、医薬品的な効果効能を暗示する形態や表示があると、法令違反と判断される可能性があります。
また、輸入販売業者には、製品の容器に内容物に関する情報を日本語で表示する義務があります。容器がプラスチック製である場合には、容器包装リサイクル法に基づき、適切な表示を行う必要もあります。
これらの規制は、薬機法、厚生労働省の通知、景品表示法、及び容器包装リサイクル法などに基づいて定められています。
ペット用の衣料品・衣料雑貨を輸入する際には、製品に希少野生動植物由来の原料が含まれていないかを事前に確認する必要があります。もし原料がワシントン条約や「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」で規制されている対象品目に該当する場合、輸入には特別な手続が求められます。
また、撥水性や撥油性を持たせるために特別な処理が施された生地・衣服・敷物などを輸入する場合は、使用されている化学物質の種類についても調査が必要です。「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」により第一種特定化学物質に分類されている化学物質が使われている製品は、品目ごとに輸入制限されています。
例えば、ペット用レインコートの輸入を検討する場合、撥水処理にPFOA(ペルフルオロオクタン酸)若しくはペルフルオロアルカン酸やPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)若しくはペルフルオロ(アルカンスルホン酸)、又はこれらの塩が使用されている製品は、輸入が認められていません。フッ素系撥水剤で処理された衣料品の代替品としては、シリコーン系撥水剤又は炭化水素系撥水剤で処理された衣料品が挙げられます。
お客様が輸入をご検討されているペット用品について、薬機法をはじめとする関係法令との適合性を専門的に調査・報告いたします。法令遵守の観点からお客様の事業運営をサポートいたします。
業務内容 | 料金(税込み) |
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衣料品・衣料雑貨輸入の相談(時間・メール回数当たり) | 5,500円 |
法令適合性調査 * | 55,000円~ |
表示チェック | 33,000円~ |
* 調査する法令数によって変化します。
翻訳料金等の実費を別途頂戴いたします。
ペットフード、シャンプー、衣料雑貨などの製品を輸入するにあたっては、製品に含有される成分が日本国内の関連法令および技術基準に適合しているか否かを、輸入前の段階で精査することが極めて重要です。日本では、食品衛生法、薬機法、化審法など、製品の性質に応じた複数の法令が適用されており、これらに違反する製品に対しては、税関での通関拒否、販売停止、回収・廃棄命令等の行政措置が講じられる可能性があります。
特に、試験輸入の段階で成分構成、表示内容、規制対象性を確認することは、事業者のリスクマネジメント上極めて重要です。当事務所では、輸入予定製品が該当法令に基づく規格・基準に適合しているか否かを、成分表示や製品仕様書等の関連資料に基づき調査・検証し、必要に応じて所管官庁への事前照会も実施いたします。
輸入業務においては、事前の法令適合性確認が、事後のトラブル回避と円滑な事業運営の鍵を握ります。製品の安全性と法令遵守を確保するため、専門的な視点からの成分分析と規制対応をぜひご活用ください。